東京大学猛追も及ばず、早稲田大学が初戦快勝|東京×早稲田 1回戦
◇東京4-11早稲田
8日・立川市営野球場
6月8日に行われた早稲田大学と東京大学の試合は、早稲田が序盤から着実に得点を重ね、試合を優位に進めた。東京大学は6回に4点を奪い反撃の狼煙を上げたものの、あと一歩及ばず。終盤には早稲田がさらに加点し、8回コールドで11-4と東京を突き放して勝利を収めた。
試合は1回裏、早稲田の先頭・本拓真(獨協埼玉)が右安打で出塁し、5番・吉井千央(鎌倉学園)の適時打で先制。3回裏には再び吉井が右中間に運び、リードを2点に広げた。吉井は「相手投手のストレートが良かったので、振り負けないようにどんな形でもランナーを返そうと思っていました。完璧なあたりではなかったんですけど、得点につながって良かったです!」と振り返った。そして、4回裏には、早稲田の9番・山口大登(順天)が先頭打者として右安打を放ち出塁し、犠飛により1点を追加。着実にリードを広げていった。

一方の東京大学は6回表、ようやく打線がつながる。松田遥真(筑波大学附属)の中安打を皮切りに、死球や四球で満塁とすると連続押し出し四球で2点を返す。さらに5番・久保出(筑波大学附属駒場)が左適時打を放ち4-5と1点差に詰め寄ったが、この回は走塁ミスも絡み、逆転には至らなかった。
8回裏、早稲田は9番・山口の中安打を起点に、代打・小屋拓大(県立大分舞鶴)の中安打、高川頌太(渋谷教育学園幕張)の2点適時打など打者一巡の猛攻で一挙6得点。暴投や捕逸も絡めて得点を重ね、最後は森悠生(市川)の中適時打で勝負を決定づけ、試合を11-4とし、8回コールド勝ちを収めた。
この試合で攻守にわたる活躍を見せたのが9番・山口。3安打の猛打賞に加え、遊撃手の守備でも安定感を発揮。試合後、「開幕戦で絶対に勝ちたかったので思い切ったプレーができて良かったです。攻撃では塁に出れば上位の人たちが返してくれるので、とにかく塁に出ることを考えていました。8回は緊迫した場面の先頭だったので打てて良かったです。守備では東大は初球から思い切り振ってきていたので、とにかく集中して守れました」と振り返った。

早稲田のマウンドは、先発・瀬古陽介(県立明和)が6回を投げ、6回に一時苦しんだものの、それ以外はテンポよく打者を打ち取り試合をつくった。「公式戦での先発は昨季1イニングで降板となった慶應2回戦以来だったのでかなり緊張しました。全体的に四死球が多く、6回には押し出しで失点を許してしまったのは非常に悔しいですが、あとは打たせて取る投球で長いイニングを投げ抑えられたのはとてもよかったです。初戦という大事な試合の先発を任せてもらった中で、こうしてチームが勝つことができ本当に嬉しいです」と瀬古は振り返る。7回から登板した瀬戸駿介(県立湘南)は安定した投球で東大打線に反撃の隙を与えず、8回には新名海央(県立大分舞鶴)が登板。落ち着いた投球で三者凡退に抑え、試合を締めくくった。

安定した継投と効果的な打線のつながりで、早稲田が初戦を快勝で飾った。試合を終え、早稲田の主将・吉井千央は「初戦はチームとしてとてもいい雰囲気で試合を進めることが出来たと思います」と語り、チーム全体がまとまって戦えたことへの手応えを感じている様子だった。その上で、「次の試合も簡単にはいかないと思うんですけど、今回の勝利の波に乗って楽しむ気持ちを忘れずにがんばります!」と、さらなる挑戦に向けて前向きな気持ちを示し、チームの勢いを維持しつつ、一戦一戦を大切に戦っていく決意が伝わってきた。
6回表の東京大学の粘り強い反撃、そして8回裏の早稲田の一気の攻めと、試合は両チームが流れを奪い合う手に汗握る展開となった。新たに魅力ある選手たちも加わり、両チームともに今季の戦いに向けて着実な一歩を踏み出した印象だ。昨季は苦戦が続いた東大も、粘りと攻撃面で手応えを感じさせる場面が多くチームとしての充実ぶりがうかがえた。一方、3連覇を目指す早稲田は盤石の試合運びで存在感を示した。最後まで引き込まれるような熱戦が繰り広げられ、これからの戦いに期待が膨らむ。
文:小倉凜々