慶應、東京との乱打戦を制す。攻守に粘りを見せ、1点差で勝利。|東京×慶應 2回戦

◇東京6‐7慶應
28日・小野路球場

序盤は東大が先制するも、慶應が2回裏に一挙6点を奪い逆転。中盤以降は、東大の粘りで1点差まで迫る展開となるが、慶應は7回にタイムリーで追加点を挙げ、終盤の守備も安定。接戦を制し、慶應が1点‐差で勝利した。

試合は序盤から動いた。先攻の東大が先にチャンスをつかむ。2回表、5番・中村快遼(灘)が打撃妨害により出塁。慶應先発ピッチャー・吉田典悟(県立浦和)の立ち上がりを攻める形で、続く6番・中村徳之(西大和学園)が鋭いスイングでレフト前ヒットを放ち、ランナーを進める。吉田は丁寧な投球を見せたものの、四球などが重なり押し出しとなって東大が先制。しかし、この1点が、慶應の打線の原動力になる。
その裏、慶應の反撃は、7番・小池隆晴(県立湘南)、9番・政近岳(県立湘南)のレフト前ヒットに始まり、チームの士気が一気に高まる。続く、2番・髙村泰彰(県立水戸第一)がライト線を破るツーベースヒットでチャンスを作ると、5番・林佑真(芝)がセンターへ弾き返すスリーベースヒットを放ち、リードされていた試合は、慶應が完全に主導権を握った。林はこの時のバッティングについて、「負ければ勝ち点を落とす大事な試合で先制を許してしまっていたので、点が欲しい場面でチームの勝利につながる一本を出せて良かったです。」と振り返る。

スリーベースヒットを打った林佑真

しかし、東大は3回表、4回表と粘りを見せ、じわじわと得点を重ねる。慶應の吉田はテンポ良く投げ込み、三振を奪いながらリズムを作るも、東大打線の粘り強い攻撃に簡単には流れを渡さない。セカンド・鳥居智(関東学院)、ショート・髙村が見せたダブルプレーでピンチを切り抜け、守備から流れを取り戻した。吉田は、「テンポの悪いピッチングが続き試合を作る役割を果たすことができなかったけれど、仲間に攻撃、守備面で盛り上げてもらい、何とか勝利を収めることが出来ました。四死球を減らし守備からリズムを作れる投球を目指して頑張ります。」と振り返った。

粘り強いピッチングを見せた吉田典悟

6回表、東大は9番・平根壮馬(筑波大学附属)がヒットで出塁。そこから四死球や犠打などを絡めて2点を返し、スコアは6‐5。点差はわずか1点に詰まる。
そして7回裏。慶應は相手のエラーで出塁すると、9番・政近が送りバントを決め、1番・鳥居へとつなぐ。打球はライト前に抜けるタイムリーヒットとなり、貴重な追加点が入った。

主将・鳥居智

だが、粘る東大は8回表、1点を返して再び1点差。最後まで勝負の行方はわからない展開となった。それでも慶應守備陣は崩れず、内野陣が堅実にアウトを重ね、6-7。慶應がわずか1点差の接戦を制した。


序盤の集中打で一気に流れをつかんだ慶應が、東大の粘り強い反撃を振り切り勝利を収めた。打線のつながり、堅実な守備そして、先発・吉田の粘投が光り、チーム全体でつかんだ価値のある一勝となった。終盤は東大の勢いに押されながらも、落ち着いた試合運びでリードを守り切った。この勝利で勢いを取り戻した慶應。次戦では、序盤の攻撃力を継続しつつ、投打のバランスを高めた慶應らしい野球に期待したい。

文:佐藤惠凜

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