9回に勝ち越した立教が死闘を制す!東大は驚異の粘りも勝利まであと一歩届かず | 立教―東大 1回戦詳報
◇25日・ダイワハウススタジアム八王子
そよ風が吹く春宵の心地よさとは正反対の乱打戦を、立教が辛くも制した。
前節の法政戦を落とした立教は野口優希(川越東)、木村優太(成城)らフレッシュな顔ぶれが先発出場。六大学選抜に選出された東大・林恭佑(小倉)は9番・ショートでスタメンに名を連ねた。
デビューから3戦連続の登板で初先発となった立教の妹尾大雅(米子東)は、2回に4つの四球で東大に先制点を献上する不安定な立ち上がり。しかし打線は3回に開幕から不動の4番に座る上野貴洋(昭和)のタイムリーですぐさま逆転すると、4回は大野龍弥(杉並学院)の右犠飛と川崎泰雅(松山)、赤崎南斗(桐光学園)の連続タイムリーで4点を奪取し6-1と突き放した。味方の援護に助けられた妹尾は徐々に制球を取り戻し、7四球ながら6回を2失点でまとめた。
立教の楽勝ムードが一転したのは5点リードで迎えた7回裏。ここまで2試合に先発し抜群の安定感を見せてきた南泰至(成蹊)がマウンドに上がるが、二年ぶりの勝利を目指す東大打線に捕まってしまう。先頭の代打・片岡大(津)が左安打で出塁すると、一死後5番・岩切一磨(白陵)が右中間へのランニングホームラン。この回さらに一点を追加し勢いに乗る東大は8回から林がマウンドに上がり、1番から始まる立教の好打順を3人で抑えて流れを呼び込んだ。
8回裏、2点を追いかける東大の先頭・柏村周平(青森)は意表を突くセーフティバントを敢行。俊足の1番打者が出塁し勢いづく東大ベンチとは対照的に、 主将の赤崎、元気印の大野がベンチに下がった立教内野陣に嫌なムードが漂い始める。このあと東大打線は2死ながら満塁にチャンスを広げると、タイムリーエラーと押し出し四球で7-7の同点に。執念の粘りを見せ、土壇場で東大が試合を振り出しに戻した。
上位進出のために連敗だけは避けたい立教は、9回先頭の上野がこの日3安打目となるヒットで出塁。死球などで1死満塁と勝ち越しのチャンスを作ったところで、代打・負田圭亮(湘南学園)が登場。韓国遠征に臨む日本代表に選出された立教の精神的支柱がここできっちりとセンターにフライを打ち上げ、勝ち越し。最終回をエース南がなんとか切り抜け、立教が8-7で死闘を制した。
立教と1本差の安打数を記録するも、またもあと一歩のところで勝利を逃した東大。目の前の一勝への執念は凄まじく、殊勲の立教・負田も「昨年までより確実に強くなっている。エラーも少なく、今後はますます怖い存在になる」と敬意を表すほど。普段は明るい表情が見られる東大の選手たちは、悔しさを押し殺し言葉少なげに球場を後にした。
写真:保倉茉帆
文:小池颯