一発勝負のトーナメント初戦!明治が攻守で輝き白星発進 │ ZETT杯2025 明治VS慶應
◇明治13-7慶應
8日・いせはらサンシャインスタジアム
明治は良いテンポの守備と攻撃で流れを渡さなかった。最後まで攻撃の手を緩めず、爆発的な得点力で慶應に大差をつけて勝利した。
ゲームは初回から動いた。1回の表、1番・南風立琉(県立相模原)が四球で出塁すると、2番・大澤宏徳(佼成学園)もファーストのエラーにより出塁し0アウト1,2塁のチャンスで3番・橋本星哉(県立相模原)を迎えた。橋本(星)がレフトに適時打を放ち2点を先制すると、5番・橋本大輝(県立鶴岡南)もライトに適時打を放ちさらに1点を追加した。6番・篠田航輝(県立横浜緑ヶ丘)はレフトフライに終わり、打線を繋ぐことは出来なかったが、この回で3点を積み上げることが出来た。先制適時打を放った橋本(星)はこの場面を振り返り「ZETT杯初戦でいつもとは違う緊張感の中、打線に火をつけられる活躍が出来て良かったです。頼もしい1、2番がいつも塁にいてくれてるので2人をホームに返すことだけを考えて打席に立ちました。中盤では長打も打つことが出来てやっと3番らしいバッティングが出来たかなと思います。まだまだ厳しい試合が続きますが、明治らしく最後まで戦い抜きたいです!」とコメントした。

1回の裏、明治先発の溝渕京哉(県立高松)は慶應打線をテンポよく三者凡退に抑え、明治は幸先の良いスタートを切った。
2回の表、8番・林田紹吾(県立熊本北)は四球で出塁すると、続く9番・滝本陽大(川越東)の打席で盗塁を決め、滝本がライトへの適時打を放ったことで林田が生還し、明治はさらに1点を追加した。
反撃をしたい慶應は2回の裏、4番・林佑真(芝高校)はファーストのエラーにより出塁に成功。続く5番・溝江翔太(明治大学付属明治)も四球で出塁し0アウト1,2塁で6番・伊藤光輝(県立横浜緑ヶ丘)を迎えた。この打席でダブルスチールを成功させたことで0アウト2,3塁のチャンスになった。二者連続三振に倒れるも8番・小池隆晴(県立湘南)の打席でショートがエラーしたことで2,3塁ランナーが帰還し慶應打線は2点を挙げた。
3回の表、慶應は正木涼太(県立相模原)をマウンドへ送り、明治打線は正木のピッチングに手が出ず三者凡退に終わった。
3回の裏、慶應の攻撃は四球が続き2番・西目光太朗(県立前橋)、3番・髙村泰彰(県立水戸第一)、4番・林が出塁し満塁のチャンスを迎えた。ここで6番・伊藤がライトに適時打を放ったことで髙村が生還し慶應打線は1点を挙げ、点差を1点に縮めた。
4回の裏、明治は成尾朋紀(熊本学園大学付属)をマウンドへ送った。8番・小池にレフトへの安打を許すものの、後続を打ち取り無得点に抑え、良い立ち上がりを見せた。
6回の表、慶應は投手を吉田典悟(県立浦和)に交代し、これを機に明治は得点を狙ったが、吉田の前に無得点に終わった。
6回の裏、守備で勢い付いた慶應が反撃狼煙をあげる。ファーストのエラーにより先頭打者の7番・大内康聖(県立水戸第一)が出塁に成功。1アウト1塁の場面で9番・政近岳(県立湘南)がショートへの内野安打で出塁し、続く1番・鳥居智(関東学院)が四球で出塁し1アウト満塁のビッグチャンスに。2番・西目の打席で3塁にいた大内がホームへ走るが、これは惜しくもタッチアウト。しかし、西目が出塁に成功したため2アウト満塁のチャンスは続き、ここで3番・髙村が四球を選び、押し出しにより1点を挙げた。さらに、4番・林がセンターに安打を放ったことで1点を追加し4-5で見事逆転した。
しかし、明治も逆転したままでは終わらない。7回の表、7番・鈴木勘介(桐光学園)が死球で出塁すると8番・林田が送りバントを成功させる。すると、代走の涌嶋陽太(佼成学園)が三盗を成功させ、9番・平野佑樹(県立平塚江南)の犠牲フライにより1点を返し、慶應に追いつきゲームを振り出しへと戻した。平野はこの場面を振り返り「逆転されて流れが相手に傾きそうな中、先輩達が繋いでくれたチャンスで追いつく1本を打てて良かったです。浅いフライでしたが涌嶋もよく走ってくれました。大切な試合で使ってくれた3年生にも感謝したいです。」とコメントした。

再びリードを奪いたい明治は8回の表、先頭打者の2番・大澤が出塁すると続く3番・橋本(星)の打席で大澤は盗塁を成功させる。橋本(星)は四球で出塁し、0アウト1,2塁のチャンスで4番・佐藤がライトに、5番・橋本(大)がセンター方向に適時打を放ち2点を挙げた。そして、6番・篠田がセンター方向に適時打を放ち2点を挙げ、この回一挙4得点をあげた。
橋本(大)は2安打3打点の活躍を振り返り、「明治はミスをカバーし合って勝つチームだと思うので、この試合では僕がチームを盛り上げる一役を担えて嬉しいです。」とコメントした。

最終回も明治は攻撃の手を緩めなかった。9回の表、2番・大澤のレフトへの安打、3番・橋本(星)の四球、4番・佐藤の四球によりノーアウト満塁のチャンスを作る。7番・涌嶋がライトへの長打を放ち、これが走者一掃の適時打となり3点を追加する。さらに続く8番・林田がセンターに安打を放ちさらに1点を追加、明治は8点リードで最終回の守りに入る。
この試合3安打、3盗塁の活躍を見せた大澤はこの試合を振り返り「頼もしいバッターが前後を固めてくれているので、塁に出て盗塁で得点圏に進む、あるいはランナーを前へ運ぶことに徹します。ZETT杯は負けたら終わりの一発勝負。だからこそ、意地でも勝ち切り、昨年・一昨年とあと一歩届かなかった“優勝”を必ずつかみ取りたいです。」とコメントした。

9回の裏、慶應の攻撃は先頭打者の5番・溝江がセンターへ安打を放つと、6番・永井柊(県立前橋)が四球で出塁した。8番・木村哲也(県立相模原)のライトへの適時打により1点を返し、9番・政近の犠牲フライによりさらに1点を追加するが、これ以上点差を縮めることは出来ずに最終回の攻撃を終え、明治の勝利となった。
慶應は堅実に点を積み重ねていたが、点差を縮めるための得点力が少しだけ不足していたと考えられる。守備からいいリズムを作り出し攻撃に繋げられれば、もっと強みを発揮できると思う。
負けたら終わりのトーナメント第1回戦で、プレッシャーがかかる投手たちを支えようと積極的に攻めの姿勢でいたことで明治は13点も獲得することが出来た。この勢いを活かして次の試合も勝ち進むことを期待したい。
文:栁澤恭子


