引退特集第1弾!│写真で振り返る3年間の思い出『最も輝いた瞬間』~慶應義塾大学編~
2020年3月、宮崎合宿中止・リーグ戦開幕の延期という異例の事態から始まったこの1年。各大学、練習もままならない中、模索しながら行われた数少ないリーグ戦。このような状況下で引退を迎えた3年生に、引退特集を通してリコタイ生活・学生野球を振り返ってもらう。
第1弾は大学ごとにテーマを決め、テーマに沿った写真をひとりひとり厳選してもらった。なぜその写真を選んだのか、その時どのような気持ちだったのか、コメントとともに3年間を思い返してもらう。
トップバッターを飾るのは、2019年度のリーグ戦王者・慶應。2020年は「リーグ戦とZETT杯の2冠」を目指して、これまでの公式戦でも各々活躍してきた3年生を中心に優勝へと駒を進めていた。
そんな盤石ともいえるチームを引っ張ってきた彼らはどんな思い出を語るのだろうか。
#22 根井優成(江戸川学園取手) 主将
昨年までは怪我などもあり、なかなかプレーでチームに貢献することが出来なかった。
悔しい気持ちを胸に抱き、今年は最終学年。そして主将ということで、チームをプレーでも引っ張ることが出来るようになりたいと思っていた。
しかしコロナウイルスの影響で思うように活動が出来ず、このまま引退かと思っていたが、理事会の方々の尽力によって、遅れながらもリーグ戦を開催することが出来た。
迎えた初戦、試合が出来ることへの感謝、そして野球が出来るということに喜びを感じていた。思いっきりプレーしようと思った。
1点ビハインドのチャンスで迎えた今シーズン初打席、何とかしたいという思いでバットを振った打球がタイムリーとなり、チームに貢献できたと感じた。同時に、野球が出来る喜びを改めて感じたため、このタイムリーヒットを打った時の写真を選んだ。
#21 川埜直人(筑波大附属) 副主将
僕が最も輝いた瞬間は、昨シーズンのリーグ戦初戦・対明治です。この試合は、リコタイに入って初めてスタメン出場した試合でした。それまでは周囲のレベルも高くほとんど出場の機会をつかめていませんでしたが、この試合で活躍できたことで自信がつき、その後はレギュラーとして出場することが出来ました。
これまでの野球人生を振り返ると、なかなか勝てないチームに所属することが多かったです。そんな中、大学では昨シーズンは優勝を経験し、今シーズンも優勝争いをすることができ、「勝つ楽しさ」を今まで以上に感じながらプレーできた3年間だったと思います。
チームメイトにも恵まれて、3年間本当に楽しく野球をすることが出来ました。後輩には、今年経験できなかった優勝に向けて頑張ってほしいです。そして、何よりも最後の学生野球を悔いのないよう、思いっきりプレーしてほしいなと思います。
80期のみんな、引退してもたくさん飲みに行こう!
#0 富山夕輔(都立戸山)
今回のテーマである私が輝いた瞬間について、3年間のリコタイ野球部での活動を思い返しながら考えてみた。結果、1つも思いつかなかった。だから私は、自分が最も注目を浴びた試合について振り返ろうと思う。
それはとあるチームとの練習試合である。この試合で私は9番・ショートとして出場し、野球人生最多の3エラーを記録した。フライは落とし、ゴロは弾き、挙句の果てにファーストへ暴投をした。あとひとつでサイクルエラーである。試合中の私は「早くここから去りたい」という気持ちでいっぱいであった。グラウンドにいる全員が、私が最も野球が下手な人間だという共通認識を抱いていることに耐えられなかったのである。当然、試合後もかつてない落ち込み方をしていた。もともと自分が野球が上手いとは思っていなかったが、それが明確に結果として見えたことが恐ろしかったのだ。このとき私が考えていたことは、試合後のミーティングでの振る舞いである。どのようにしてみんなに謝るか、それとも無理して開き直った態度でいるのか。しかし、冗談でも開き直った態度をとるような精神状態では無かったため、私は謝ることにした。
そうして始まったミーティングで、なんと私のエラーについてはほとんど触れられることはなかった。正直に言うと動揺した。しかし、その時の精神状態の私にとっては本当にありがたいことであった。これがチームメイトの優しさなのかは分からないが、その後も楽しくリコタイで野球を続けることが出来たのは、この対応のおかげである。また、この後も野球を続けようと思えているのもこのおかげである。そして今後も野球を続けていれば、いつか私にも輝く瞬間が訪れるかもしれない。
#6 清水槙利(都立大泉)
2020年、自分にとって勝負の1年として幕を開けました。昨年まで先輩方の実力を越えることができず、ベンチを温める一員に過ぎませんでした。レギュラーとタイトル獲得を目標に掲げスタートした1年。新チーム始動直後の2月は、なかなか思うようなプレーが出来ず、結果も出ない日々。それでも、自分でやると決めた練習メニューを続けていました。
コロナウイルスの影響を少しずつ受け始めるも野球以外が軌道に乗り始めた中、迎えた新チーム初戦。第1打席で放った低い弾道は、自分の代名詞である「流し打ち」。塁上では自然と、固めた拳を振っていました。
開幕が遅れ、しかも練習ができない日々で調子は降下し、全く思うような結果は残せませんでした。それでもこの1年で、上手くいかない時の悔しさ・結果が出た時の喜び・野球の楽しさなど、改めて感じることが多くありました。
不完全燃焼な1年でしたが、これで1度野球に区切りをつけ、自分のキャリアに磨きをかけます。そしていつか、どこか次のステージでもう一花咲かせたいと思います。
#7 長橋一徹(洛星)
僕が選んだのは「2019年リーグ開幕戦(早慶戦)でサヨナラ安打を放った瞬間」です。必ずリーグ優勝を果たす、その為にも目下3連覇中の早稲田を倒すと意気込んで始まった慶應の2019年シーズン。開幕戦はいきなり訪れた天王山であり、この試合の勝敗が今後のリーグ戦の命運を決定すると言っても過言ではないほど重要な試合でした。
9回裏の時点で1-2とリードされ、ギリギリまで追い詰められた慶應。しかし、土壇場で9番・五十嵐さん(OB・五十嵐捷)の劇的なタイムリーで追いつき雰囲気は押せ押せムードに。1番・税所(3年・税所佑斗)が四球を選び、自分に打席が回ってきました。ここまでエースの南さん(OB・南智樹)を前に4打席0安打に抑え込まれていた僕でしたが、「お前が決めてこい、頼んだ!」といわれて燃えないわけがありませんでした。試合を作ってくれた野手陣、声援を送ってくれるベンチ、皆の思いを背負って打席に立つってこういうことなんだと改めて感じました。甘く入ったスライダーを引っ張りこんでライト前に運んだ感触、皆と抱き合って喜んだ瞬間は今でも覚えています。
思い返せば、今までの野球人生でこんなに痺れる場面は初めてでした。高校野球では指導者との人間関係に悩み、いつしか指導者の目を気にしてしかプレーできない自分がいました。しかし大学でリコタイに出会い、素晴らしい仲間に出会い、共に練習する中で、「投げて、打って、走って、捕る」という根本的な野球の楽しさを再認識するとともに、皆で勝利を分かち合う喜びを思い出すことが出来ました。学生野球の最後をリコタイで締めくくることができて本当に良かった。皆のおかげです。ありがとうございました!!
#16 宮田駿二(都立青山)
この写真は去年のリーグ戦、対早稲田の第2戦での写真で、勝てば慶應のリーグ戦優勝が決定するという試合でした。そのような大事な試合に先発として登板し、良い結果を残すことが出来たのでこの写真を選びました。
重要な試合ということで少しプレッシャーもありましたが、同時にワクワクした気持ちもあったような気がします。程よい緊張感もあって良いピッチングに繋がったのではないかと思います。
優勝の瞬間は今でも鮮明に覚えていて、とにかく嬉しいという気持ちしかありませんでした。野球を続けてきて良かったと思った瞬間でした。