早稲田の陰の立役者 監督インタビュー|優勝特集2024

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リーグ戦とZETT杯の連覇、ルーキーリーグ優勝を加えて三冠と華々しい結果を残した早稲田。その裏にはチームを常に俯瞰的に見て采配を振るう頼もしき監督がいた。今年の早稲田を支えた監督・猪木大晟に1年を振り返ってもらう。

ーー優勝おめでとうございます!!昨年に引き続き全勝でシーズンを終えられたことについていかがでしょうか。

本当に良かったです。今期のチーム目標としていたのもそうですし、多くの人の頑張りで繋いできた連勝記録を自分で途絶えさせることなく次に繋ぐことができたことにほっとしています。人生で初めての監督ということで手探りな部分もあったと思います。選手とは違い自分のプレーが勝敗に直結することがない。良くも悪くも自力ではどうすることもできない難しさと愉しさみたいなものを感じていました。だからこそ優勝したときは今までとは違った喜びと達成感を得ることができました。チームのみんなに心から感謝です。

ーー今年の早稲田は選手層が厚く、投打に安定感がありました。監督の立場からみた今年のチームの魅力や強さを教えてください。

シーズン直前のインタビューでも言いましたが団結力です。仲の良さからくる風通しの良さと締める時はきっちり締めて頑張れる良い集団だったと思います。野球に関しては走攻守全てが強みでした。攻撃ではたくさん走るし、よく打つ。ピッチャーは打たれないし、フォアボールも出さず、守備はエラーもしない。さらに試合に出ていない人もベンチワークをきっちりこなしてくれる最高のチームで、本当に負ける気がしませんでした。とにかく、出る人が揃いも揃って活躍してくれるので監督としては楽をさせてもらいました。そのためいい意味で起用に迷うことはたくさんありました。

ーー「負ける気がしなかった」と心強い言葉も出てきましたが、昨年の全勝優勝があり、今年も連勝記録が続く中で勝ち続けるプレッシャーはありましたか。

シーズン始めの方は感じていました。リーグ全体を見ても各チームエースが軒並み残っていて、今年はレベルが高いと思っていて、特に開幕戦の直前なんかは自分たちがどの程度やれるか分からなかったので楽しみ半分、緊張半分のような気持ちでした。ただ、シーズンが進んでいくにつれて「負ける気がしない」という自信の深まりとともにプレッシャーはなくなっていき、自分が決めたオーダーや起用した選手が試合でどう活躍するのか毎試合楽しみでした。

ーーシーズン始めは感じていたというプレッシャーですが、開幕戦の慶應戦はタイブレークまでもつれる展開となりました。引退特集でもターニングポイントになった試合として上げていましたが、詳しく教えてください。

先ほどの回答の繰り返しになりますが、今シーズンの自分達がどれほどやれるのか分からなかったことから、チームとしても試合前の緊張感は1番あったと思います。実際に試合展開としても今シーズンで1番ヒリヒリする展開で、ここで勝ちきれたからこそ、その後も最後まで勢いに乗っていけたと思います。

ーーまたリーグ戦の優勝を決める立教戦は、先に2点を取られ、9回を同点で迎える展開となりました。どのような思いで試合を見ていましたか?

全く心配してませんでした。このチームで2点ならすぐに返すだろうと考えていたので、正直思ったより打たないなと思いましたが、遅かれ早かれ追いつくと信頼していました。相手の投手の球数や様子などからみた状態だったり、延長を見据えた準備だったりを踏まえると、こちらに明らかに分があるので、あとは采配の選択を間違えないように気を付けるだけでした。

ーー今季最終戦でZETT杯の優勝を決め、1番に胴上げをされました。最高の結果と共に宙を舞う景色はいかがでしたか?

試合前からみんなが「監督を胴上げしよう」と言ってくれて、実際その時が訪れた時はやっぱり嬉しかったです。僕を含め数人が胴上げされましたがそのうちの1人が自分で少し恐縮でした。感想は180ちょっと身長がある自分がこんなに簡単に浮くんだと思いました。回数に関しては誰かが「源田の6」と言ったことで6回になりましたが、その後まさか源田があんなことになるとは、、、それも含めて全ていい思い出です(笑) みんなに感謝です。

ーー最後にチームに向けてメッセージをお願いします。

 まずは、皆さん優勝おめでとうございます。自分は全然大したことしてないんですけど、みんなのおかげでこんないい思いさせてもらって、本当に感謝しています。
 1年間監督をやってきた中で、今年のチーム方針は勝ちにこだわるということで、どうしても出場機会は平等にすることはできなくて、もしかしたら中には不満に思っていたり、つまんなかったりした人もいたんじゃないかなと思います。それでもみんながそれぞれの役割を全うしてくれたおかげでこの結果があると思います。あえて挙げるとすれば、裏でよく働いてくれた公人(小島公人)、来年理事の新大(田島新大)、気が利き面倒なことも率先して引き受けてくれる高川(高川頌太)や、コーチャーを頑張ってくれた開(石井開)、柳下(柳下大勢)やせとしゅん(瀬戸駿介)。ボールボーイやバットボーイを積極的にやってくれた小坂(小坂涼太)や大登(山口大登)などはオーダー会議でもよくありがたいっていう話がでてました。他にも、審判を積極的にやってくれた1年生。どんな時でも登板できるように準備してくれたピッチャー陣やベンチで声を出していた人、マネージャーさんももちろん全ての人のおかげでできた優勝だと思います。だから今回の優勝を蚊帳の外に感じるんじゃなくて自分のおかげで優勝したぐらい胸を張って喜んで欲しいです。
 2025年になり下級生のみんなはもう次のシーズンに向かっていると思います。僕から特に何か言う必要はないくらいできた後輩たちには、これから先もずっとこの素晴らしい早稲田を繋いでいって欲しいです。
 最後に月並みな表現ですが、このチームの監督ができて、そしてこのチームで優勝できて良かったです。改めて優勝おめでとうございます。1年間ありがとうございました。

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