覇者早稲田復活へ!直接対決を制し、リーグ優勝に王手│立教×早稲田 2回戦
◇立教3-4早稲田
31日・小野路球場
自力優勝の可能性を残す2校の直接対決となった今試合。「事実上の決勝戦」として勝利への強い執念を持って挑んだ早稲田が、立教の猛追を振り切り7勝目を手にした。そして2位以上を確実なものにし、王者奪還への道筋を確実に捉えた。
早稲田は7試合目の登板となる石井智己(岡山朝日)が先発。初回の2者連続三振を皮切りに3回を投げ切り球数は僅か43球、被安打0と危なげないピッチングを披露した。しかし打線も立教の先発・小林陽人(桜美林)の立ち上がりを攻めきれなかった。
打線が石井(智)の好投に応えたのは3回。甲崎孝裕(早稲田大学高等学院)がエラーで出塁すると快足を飛ばして2塁を陥れた。続く清瀨智大(新潟南)もデッドボールで出塁し、先制のチャンスで打席が回ってきたのは4番・青木元寿(海老名)。これまでもあと1本が欲しい場面で確実に一打を放ってきた青木がレフトオーバーのツーベースを放ち、先制した。
さらに佐藤塁(桜美林)の犠牲フライとバッテリーエラーの間にランナーがそれぞれ生還し、リードを一気に3点とした。
3年生として、監督として、チームの4番として頼もしい活躍を見せる青木は「先発の石井(智)が良いピッチングをしてくれていました。チームを勢いづけるためにも先制点を取ってあげたかったので、結果としてタイムリーになって良かったです。毎回得点圏で打席を回してくれる前の3人にも感謝しています。」と振り返った。
早稲田は選手層の厚さを生かした投手リレーで試合を展開した。これまで全ての試合で登板している藤本怜児(都立西)、先発としても活躍を見せる山田純平(國學院大學栃木)が石井(智)の後を継ぎ、7回まで1失点と立教打線を封じ込めた。
攻撃でも先制のホームを踏んだ甲崎のライト前ヒットからさらに1点を加えて、リードを維持したまま終盤を迎えた。
しかし8回、立教の猛追で1点差まで迫られる。なおも1アウト1塁、2塁のピンチで早稲田がマウンドに送ったのは今季防御率0.00を維持する工藤智裕(成蹊)。勝利への正念場で登板した抑えのエースは、2つの空振り三振を奪ってピンチを切り抜け、左手でガッツポーズを作った。
「1点差に追いつかれて、さらにピンチの状況だったのでなんとか抑えようと思い、マウンドに上がりました。押し出しでも同点になる場面だったので、抑えたときはひとまずホッとしました。後ろに逸らさず止めてくれた一登(渡邉一登⦅早稲田佐賀⦆)には感謝したいと思います。」と後輩を称えて振り返った。さらに「昨年は不甲斐ない投球でチームに迷惑をかけてしまったので、今年は優勝できるように新チームが始まった頃からトレーニングや練習に励んできました。残り1試合に勝って、優勝したいと思います。」と語った。
続く9回はいつも通りの安定したピッチングで試合を締めくくり、早稲田は2年連続で負け越していた立教相手に大きな1勝を挙げた。
先制のタイムリーを放ち、監督としてだけではなくチームの主軸としても勝利を支えた青木は「自力優勝のかかった試合だったので、決勝戦のつもりで挑みました。チームのみんなもこの試合に向けてしっかり気持ちが入っていたので、良い雰囲気で試合を運ぶことが出来たのが勝利に繋がったと思います。」と試合を振り返った。
1、2位の直接対決を制したことで優勝が近づいた早稲田。昨年の雪辱を晴らし、悲願の王者奪還なるか。
早稲田の優勝条件はチーム最終戦の東大戦(14日)に勝利するか、2位の立教が4敗目を喫するか、立教との優勝決定戦に勝利するかだが、もちろんチームは東大戦に勝って完全優勝を狙う。
リーグ戦の集大成として、投打のかみ合った試合展開を期待したい。
文:浅野希子