手に汗握るシーソーゲーム”最終回の大逆転劇”｜明治×早稲田 1回戦

♢明治6-7早稲田
11日・第一カッター球場

今季3連勝して勢いに乗る明治相手に、2連勝中の昨季リーグ戦王者早稲田が意地を見せ、執念の勝利を挙げた。点の奪い合いの末の決着はまさに「手に汗握るシーソーゲーム」と呼ぶにふさわしいものだった。

初回から、投手戦の様相を呈していた。明治、早稲田ともにヒットや死球による出塁はあったものの、両チームの投手、早稲田の新井大悟(川越東)、明治の石原慎也(県立市ヶ尾)の好投により、3回まで両チーム打者9人に留まるなどと試合は膠着した状態が続いた。試合が動いたのは4回の明治の攻撃。打者2巡目の先頭バッターで1番・宇津見達也(県立佐賀北)がセンター前ヒットを放つと、続く2番・吉田健成(県立白河)が内野安打で出塁し、ノーアウト1,2塁。すかさずダブルスチールを狙うが、キャッチャーの渡邉一登(早稲田佐賀)の好牽制により宇津見が3塁でアウトとなる。しかし4番・伊藤大貴(桜丘)がスリーベースヒットを放ち、その間に吉田がホームに生還し、1点を先制する。

だが、早稲田も食らいつく。4回裏、今季バッティング好調の1番・石井蒼月(山手学院)がいきなりライト前ヒットを放つ。果敢に盗塁を試みるがキャッチャー伊藤の好牽制により阻まれてしまう。続く2番・甲崎孝裕(早稲田大学高等学院)が四球で出塁すると、盗塁や送球間の進塁により2アウト3塁となる。そして4番・佐藤塁(桜美林)がピッチャー強襲の当たりを放ち、その間に甲崎が生還し即座に1点を返した。さらに5回の裏も早稲田の猛攻は続く。先頭打者の渡邉(一)が四球で出塁すると、8番・長谷川翔大(県立千葉)、負傷交代で出場した9番・吉川将生(市立浦和)の連打により1アウト満塁のチャンスを迎える。石井のセカンドゴロの間に渡邉(一)が生還し、1点を加えた。

逆転された明治は6回表、先頭2人が立て続けにアウトになるが、続く3番・松本朋大(都立昭和)が四球で出塁する。パスボールで進塁すると、4番・伊藤の強烈なライトへの当たりによって1点を取り返す。さらに続く7回、勢いこのままビッグイニングを作る。7番・堀井洸太郎(明治大学付属明治)がライト前ヒットとパスボールによってチャンスを作ると、守備の交代でライトへ入った8番・岡野壮太(明治大学付属中野八王子)がライト線ギリギリに落ちる勝ち越しとなるスリーベースヒットを放ち、続く9番・飯村純弥(川越東)のセンター前ヒット、3番・松本のライト前ヒットで一挙3得点を挙げる。

3点のビハインドを背負った早稲田は直後の7回、先頭バッターがショートフライに倒れるも、8番・長谷川がライト線へツーベースヒットを放つ。そして9番・吉川がセンター前ヒットを放ち、センターからの返球の間にホームまで一気に還り、2点を返した。

最終回となった8回表、明治は6番に代打として1年生の三浦竜蔵(駒込)を送り、レフトへツーベースヒットを放つと続く8番・堀井のレフト前と犠牲フライで三浦が生還し1点を追加した。

2点差をつけられ絶体絶命の早稲田。先頭打者の佐藤(塁)がセカンドへの内野安打で出塁すると、ここまで息を潜めていた5番・野々村俊佑(滝)がレフト前ヒットを放ちチャンスを作る。ワイルドピッチによりノーアウト2,3塁とすると、渡邉(一)の犠牲フライ、7番・遠藤一成(桐光学園)のレフト前ヒットで2点を追加し、同点とする。遠藤が果敢に次の塁を狙うがまたもやキャッチャー・伊藤の好牽制により阻まれてしまう。2アウトランナー無しとなり同点のまま試合が終わると思われたが、8番・長谷川が四球で、9番・吉川がファーストの捕球エラーで出塁すると、今季大活躍の”熱男”こと石井が初球をセンター前ヒットを放ち劇的な早稲田の逆転勝利で試合は幕を閉じた。

今季バッティング好調の石井は、試合を決めたサヨナラ打について「ちょっと詰まった分ヒットになって良かったです！怜児(藤本怜児｟都立西｠)に負けをつけるわけにいかないと思って必死に食らいつきました！」と振り返り、喜びを明かした。また、次回以降の試合に向けて「来週以降は甲崎と太(河野太｟県立日立第一｠)が打ってくれるはずなので、そこに繋ぐ！熱男(あつお)のチームを勢いづけるプレーに期待してください！」と抱負を語る。

非常に拮抗した実力を持つ大学同士の戦いは大きな盛り上がりを見せた。最後の最後まで諦めなかった早稲田。敗れはしたものの接戦を演じた明治。ともに、1年生を加えた新体制のチームは早くもまとまりを見せ始めている今、両チームから目が離せない。

文：小川将哉