【数珠繋ぎ式対談③】「自分と違うからこそ語りたい」 明治・丸山隆馬➡早稲田・野宮健太

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昨季2年生で唯一リコタイJAPANに選出された明治の主砲・丸山隆馬が対談相手に指名したのは、 ルーキーシーズンからスタメンに定着し、野手部門新人王に輝いた早稲田の安打製造機・野宮健太。ライバルでありながら、ヤングリコタイJAPAN(2019秋に行われた、1,2年を中心とした選抜選手による台湾遠征)ではチームメイトとして共に戦ったリーグ屈指の好打者たちが、それぞれの「打」を語る。

丸山が野宮を指名した理由とは

丸山:野宮は、1年目ながら実力でリーグを代表する打者にまで名を挙げた。センスが素晴らしい、僕がいないリーグならピカイチだと思う。僕がいなければ(笑) 僕とは違うタイプなのはすごく分かる。違うからこそ、新しい角度から「打」を語りたい

野宮:丸山さん、ご指名頂きありがとうございます。 昨年度は終盤では丸山さんの成績も意識して、丸山さんに負けないようにと頑張りました。自分は、昨年度は1年目という事で今までの野球の成果を出せるようにと思っていましたが、今年度は丸山さんのような、自分とは違ったタイプの「打」も取り入れて新たなバッティングスタイルを確立したいと思っていますので、丸山さんと「打」を語れること、嬉しく思います。

早稲田大学2年・野宮健太(桐朋)

バッティングにおける「違い」

丸山:野宮の打撃は誰よりもシャープ。構えたところから直線でミートポイントに合わせるイメージがある。脱力して芯に当てることに特化してるような気がするな。僕が面で捉えるなら、野宮は点で捉えるってイメージがある。無駄なところが削ぎ落とされて、本当にシンプルで打ちやすそう。

野宮芯に当てることだけに集中していることは間違いないです。おっしゃる通り自分は当たる瞬間を点として、その点ではほぼイメージ通りの打球を飛ばし、その点からずれた球はファールにできるようなバットコントロールが重要だと考えています。構えやフォロースルーがいくらダサくても無駄なところは削ぎ落とすようにしていますね。

丸山:ほうほう!やっぱり僕とは違う意識だし、「ずれた球はファールにする」っていう考え方が良い。それは僕にとって新しい発想になった!

丸山隆馬の「下半身論」

丸山:下半身の動きや体重の使い方なんかはどんな意識でやってる?

野宮:特には意識していないです。自分はティーバッティングで自分の理想の打球がいけばいいかな、ぐらいでやっているので…。丸山さんの下半身の動きや体重移動の意識を聞きたいです!

丸山: さあ来ました、丸山の下半身論!俺は打撃は下半身が命だと思ってる。体重移動は、前脚を上げて後脚に乗った体重を、下ろす前脚に全て乗せて打つ。前脚着地時に前脚で急ブレーキをかけて、腰の急回転を促す。急ブレーキをかけることによって、下半身→上半身の順に体が回る。上下でズレが生じる。その一瞬のズレ(ねじれ)によって上半身が普通より素早く強く回って、強い打球が飛ばせると思ってる。

野宮:少しややこしいですが、おっしゃっていることはよくわかります。とても理にかなっていると思いますし、それをスイングという一瞬の時間で実践できてるのは素晴らしいと思います。自分も取り入れれば長打を打てるようになるでしょうか…(笑)

丸山:感覚的なことだから分かりにくいよね。巨人の丸(東京読売ジャイアンツ・丸佳浩)のツイスト打法とかこの原理なんだけどね。 あとは変化球ってわかったら、上げていた前脚で弧を描きながら下ろすことかな!わざと着地を遅らせてタイミングを合わせたりしてる! 打席の中で色んなこと考えて実践しないといけない。俺もまだまだできないし、体に覚えさせるように練習あるのみかな!(笑)

明治大学3年・丸山隆馬(明大中野八王子)

野球楽しい!って心から思える瞬間

野宮:思っていたより丸山さんのバッティングが繊細で驚きを隠せません。変化球の打ち方、参考になります。練習が少ないなかでどれだけ意識高くやれるかですね。

丸山:俺がなにも考えてないと思ってたのか?(笑)

野宮:いや、俺が全然考えていないので、すごいなぁと思って…(笑)

丸山:練習が少ない分、個人でフォーム固めて試合で発揮できたら、より野球が楽しくなるよな!

野宮:練習で出来たか出来ないかを知らないまま試合で実践するってことですか?

丸山:違う違う!練習で納得できなかった分を個人の練習で納得できるまでやれれば、実戦でも発揮できる。自分で色々試行錯誤したものを発揮できた時って、「野球楽しい!」って心から思える瞬間だと思う。 質の高い練習と自分の感覚を固定する自主練。そこから得られる成果が、俺にとっての野球の醍醐味であり、それがチームの勝利に繋がったら尚、嬉しい。

野宮:なるほど。

最後に…

丸山:冒頭で言ってた「新たなバッティングスタイルを確立したい」っていう今年度の野宮は、日々の練習でそれを固めて試合で成果を発揮してくれるのか、俺は期待して見てるよ?

野宮:結果が出るかはわかりませんが、丸山さんの言うように練習の成果を発揮できた喜びを感じられるように練習しますので、期待していただいて大丈夫だと思います。

大学も学年も出身高校も異なる両者だが、彼らがそれぞれのチームで打撃面におけるキーマンであることには変わりない。今季はチームとしての勝敗だけでなく、野宮の新しいバッティング、そして丸山のパワフルでかつ繊細なバッティングにも注目である。

文:山田美祐  取材:上野貴洋

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