伝統の一戦!主導権を握った早稲田が3年ぶりの勝利│早稲田×慶應 2回戦

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◇早稲田8-3慶應
25日・瀬谷本郷公園野球場

1回戦では慶應が守備から流れを引き寄せて4点差をひっくり返し、劇的なサヨナラ勝利を飾った。今季2勝目が欲しい慶應とリベンジに燃える早稲田の試合は、1回戦と同じように早稲田が大きくリードする展開に。慶應が得点した直後に点を取り返し、投手が要所を抑えたピッチングを披露して主導権を渡さなかった早稲田が勝利した。

炎天下で始まった伝統の一戦は早稲田・石井智己(岡山朝日)と慶應・小峯丈明(慶應義塾)の両先発の立ち上がりを攻めきれず、0-0のまま試合が進んだ。

試合が動いたのは4回表。1アウトから3番・清瀨智大(新潟南)がヒットと盗塁を決め、続く4番・青木元寿(海老名)のライトへのヒットで早稲田が先制のチャンスを作る。打席が回ってきたのは昨季からスタメンマスクを被る5番・野宮健太(桐朋)。「後ろに頼れる2年生がいたのでリラックスしつつも、清瀨を絶対にホームに還すつもりで打席に入りました。今年は周りに助けられてばかりだったので、先制できて少しホッとしました。」と振り返った野宮がスクイズを決め、3年のクリーンナップ3人で先制点をもたらした。さらに6番・河野太(日立第一)が両チーム初の長打を放ち、早稲田が2点を獲得する。

先制のスクイズを決めた5番・野宮

継投に入った6回、早稲田は再び清瀨と青木がヒットで出塁し、バッテリーエラーや初スタメンの1年・山田真透(鎌倉学園)の犠牲フライで3点を追加しリードを5点に広げた。

一方の慶應は先頭の片岡壯介(浅野)がデッドボールで出塁しすかさず2塁への盗塁を決めた。さらにバッテリーエラーを見逃さずホームまで陥れ、1点を返した。続く福井龍介(慶應義塾)もフォアボールで出塁後に盗塁とバッテリーエラー間の積極的な走塁で3塁まで進んだが、ここは石井(智)の後を継いだ藤本怜児(都立西)が踏ん張り、追加点を取ることはできなかった。

早稲田は直後に野宮、河野の連打で1点取り返す。加えて裏の守りでは先頭バッターのセンターに抜けると思われた打球を、昨季ベストナインを受賞したセカンドの甲崎孝裕(早稲田大学高等学院)が逆シングルで捕球してアウトにする鮮やかなファインプレーで魅せた。

慶應は8回、先頭の片岡がエラーで出塁すると続く福井と5番・角田真(慶應義塾)もフォアボールを選び、満塁のチャンスを作る。そして今季全ての試合でスタメン出場している6番・倉崎俊輔(高輪)がライト前ヒットを放ち、早稲田に一矢報いる2点をもぎ取った。倉崎は「みんなが繋いでくれたチャンスなので、なんとか形にしようと思って打席に入りました。結果に繋がって良かったです。」と振り返り、「現在チームは厳しい状況にありますが、自分のできることを全てやり切ってチームの勝利に貢献します。」とリーグ後半戦への意気込みを語った。

しかし3年ぶりの早慶戦勝利を目指す早稲田は、最後まで流れをガッチリと掴んでいた。9回に清瀨、青木、佐藤塁(桜美林)が四死球でそれぞれ出塁し2アウト満塁で打席が回ってきたのはファインプレーをした甲崎。初球を捉え、レフトにダメ押しの2点タイムリーを放った。「前の打席では三振を取られてしまっていたので、早いカウントから強く振っていこうと思いながら打席に入りました。8回に良くない展開で失点してしまっており、どうしても点を取りたい場面だったので打てて良かったです」と振り返った。

ダメ押しのタイムリーを放った甲崎

今季は緊急事態宣言の発令によるリーグ戦中断の影響で、リーグ戦規則が改訂されている。よって今季の早慶戦は互いに1勝1敗で幕を閉じることになった。
早稲田は同じ勝ち点の東大との試合を来週に控えている。投打が揃っている早稲田と、法政と立教に勝利して今や飛ぶ鳥落とす勢いの東大の試合は、非常に見ごたえのあるものになるだろう。
また2019年、2020年と優勝争いを繰り広げてきた慶應のリーグ後半戦の巻き返しに期待したい。

文:浅野希子

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