悲願のZETT杯優勝!栄冠は早稲田に輝く|ZETT杯2023 早稲田vs明治

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◇早稲田3-0明治
29日・立川市営野球場

両チーム前日の準決勝を勝ち抜き、勢いそのままに迎えた決勝戦。リーグ戦1位が決定しZETT杯優勝との二冠を目指す早稲田と、リーグ戦二連覇を果たすことができなかった悔しさを胸に下剋上を狙う明治。両者の思いがぶつかる熱い戦いとなった。

試合は7回までスコアボードに0が並ぶ投手戦となる。明治の先発・益山直己(明治大学付属明治)は変化球とストレートのコンビネーションが冴え早稲田打線を苦戦させる。
対する早稲田の飯島健心(本郷)も丁寧にコースを突く投球で6回を四死球無しの無失点に抑えた。1年生ながら決勝の先発マウンドを任された飯島は「決勝のマウンドを任せてもらった時は驚きしかなかったですが、先輩たちの期待に応えられるようなピッチングを心がけました。大悟さん(新井大悟⦅川越東⦆)にいい形で繋ぐのが自分の役割だと思っていたので、無失点で渡せて良かったです。」と振り返った。

試合の均衡が崩れたのは8回表の早稲田の攻撃。2打者連続で明治の守備が乱れ0アウト1,2塁とすると、さらに2塁への牽制球が逸れ0アウト1,3塁と先制のチャンスを広げる。ここで打席に立った5番・渡邉一登(早稲田佐賀)がレフトへ先制の一打を放つ。渡邉が「自分が返さなくても、次の将生(吉川将生⦅市立浦和⦆)が必ず打つと思っていたので気楽に打席に入りました。右打者全員で『インコースのスライダーを徹底的に狙っていこう』と話していたので、それを実行しただけです。」と振り返るこの一振りが試合を動かす殊勲打となった。

さらに、続く6番・吉川もセンターオーバーのスリーベースヒットを放ち2人を生還させる。ここ一番で勝負強さを見せた吉川は「結果が出ず、チームに迷惑をかけてきたので、最後に何としてでも勝利に貢献したいという思いで打席に立ちました。信じて起用し続けてくれた監督や、支えてくれたチームメイトには感謝しかありません。」と語った。

その後、得点は動かず3-0のまま迎えた9回裏。明治は1アウトから3番・服部碧人(都立国分寺)が粘りを見せ四球で出塁するも、続く4番が空振り三振で2アウト。さらに捕手の渡邉は飛び出していた1塁ランナーを見逃さず、すかさず1塁へ送球して3アウト。この1年、早稲田を率いた主将が自らの手で優勝を掴み取った。

渡邉はこの3アウト目を振り返り「リーグ戦、ZETT杯を通して何度もピックオフでランナーを刺してきたので、自分と将生(吉川将生)の集大成ですね。」と話す。そして優勝については「春からリーグ戦とZETT杯優勝を目標に掲げてきたので、とても嬉しく思います。特に、監督の雄大(上平雄大⦅渋谷教育学園幕張⦆)、理事の真透(山田真透⦅鎌倉学園⦆)と何度もぶつかり合いながら、本気で向き合ってきたので、良いチームになったと思います。本当にありがとう。」と、チームメイトへ感謝の言葉で締め括った。


早稲田はこの試合に勝利し、目標に掲げてきたリーグ戦優勝とZETT杯優勝の二冠を達成した。主将・渡邉を中心に野球に対して常に全力で向き合ったこと、そしてこのチームなら勝てるという自信と信頼が二冠に繋がったのではないだろうか。
一方の明治も敗れはしたものの、9回を投げ抜き自責点1と好投を見せた益山や、勢いに乗ると怖い打線は早稲田を苦しめた。

早稲田はここまで負けなしの12連勝。残す試合を立教とのリーグ戦1試合とし、全勝優勝が目前に見えてきた。3年生にとってこの仲間と共に戦える時間はあと少しである。学生野球の集大成にふさわしい戦いを期待したい。

文:関日菜子

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